当選しました当選しました「当選しました。おめでとうございます。あなたは今回の私どもの企画で多数の応募者の中から、 なんと1位になられました。ほんとおめでとうございます」正は思い当たることがない。 「なんかのまちがいじゃないの?応募した覚えないよ」 「私どもの企画はラッキーなことにあなたのような将来有望な方を特別に選抜いたしまして、勝手ではございますが、今回の企画の最終枠に入れ込んだ次第で。本当におめでとうございます」 「ねえ、さっきから、おめでとうございます。おめでとうございますと言っているけど何がおめでとうなの?」 「ハイ、私どもの企画は1位になられた方の夢に当社が投資する権利、そうあなたがその権利を獲得されました」 「ふうん、それじゃ。私の夢にいくらでも投資してくれるわけ」? 「ハイ、さようで」。 「どうすればいいの」。 「あなた宛に契約書をお送りしますのでそれに署名と印鑑を押して、送り返してください」 「ふうん、それだけ、わりかし簡単じゃん。それで私の夢をいつ聞いてくれるわけ?」 「契約を交わしたあとあなたの夢の企画書を作成していただきます」 「企画書って難しそうだね」 「いえ、私がお手伝いさせていただきます。電話でのやりとりになりますが、 あなたはただ、私にあなたの夢を語り、それをもとに私があなたの夢の企画書を作成します」 「ふうん、じゃ、やってみようかな、せっかくだし」 それから、二週間後、正にその会社から、契約書が送られてきたので正はそれに署名捺印し、送り返した。 それから、しばらくしてその会社から一通の封書が送られてきた。 そこには「当社は、平成17年・・・当社の顧問弁護士を通じて、裁判所に自己破産の手続きをとりました。 ついては、当社に対する債務、貸し付け、借り入れがある方については、当方の弁護士を通じて後日ご連絡させていただきます」旨のことがかかれていた。 それから、しばらく月日が過ぎた。あれ以来、何の連絡もないが、自分の携帯やメールにはあれからやたらとサラ金の勧誘が入るようになったのは何か、自分の知らないところで何かがあったせいだろうか。思い過ごしてあればいいが・・・。(終) |